CADUNE AOYAMA 2F

「CADUNE」とは「clair de lune = 月光」の俗語であり、
「月の満ち欠けのように変わりゆく女性に寄り添う」がコンセプトのファッションブランドである。

古くから人々の生活に深く関わってきた月の満ち欠け、
月は自らが光を発するのではなく、太陽の光りに照らされて姿を見せる存在である。
月には、光が当たる(地球から目視できる)部分と光が当たらない(影、地球からは目視できない)部分があり、
時間の経過と共に月の満ち欠けを観察することが出来る。

光が当たる(見えている)部分と光が当たらない(影、見えていない)部分の関係性やバランスに問いを立て、
両側面の対比による相乗効果と、普段光が当たらない壁の内側や下地材などの見過ごされている(見えない)場所や材量にも焦点を当てることが出来るのではないだろうかと考えた。

例えば、
1:通常であれば仕上げを施し、見えてこないはずの躯体壁や柱をあえてそのまま露出し、その躯体に対して光を当てる計画を行った。
今まで蓄積された躯体の表情(過去の墨出し跡や筆跡、溶接跡などが)が現れ、過去の物語や建物の歴史に想像が膨らむ。
※また、作る部分と作らない部分の全体バランスを考慮しながら、造作物を最低限に納めることで資材の量を抑えることにも繋がっている。

2:天井計画ついて、半分をスケルトン、半分をフラットな天井とし、スケルトン部分からは、フラットな天井の裏側が覗ける仕掛けとした。
影があることで光の世界がより引き立つ計画としている。

3:現場で余ってしまった石材や工場で廃棄される石材、地域で危険樹木として伐採され放置された木材などの材料を積極的に使用し、店内什器、家具として取り入れた。
※人工的な曲線と自然が作り出した曲線が空間の中に共存する。
1F中央には曲線を用いた大きな棚什器を配置し、奥への誘因、自然な回遊性を生み出している。

4:棚上の演出備品として、理科学ガラスの不良素材や不良パーツを用いたガラス作品を採用した。

5:2Fをコミュニケーションスペースとした。
これは、店舗を成長させるためには売り場環境だけではなく、
月に数度、イベントや顧客対応、ライブスペースなどとしても使し、この場所から何かを発信することが出来るようにした。

などである。
そういった、普段光を浴びないモノや環境への価値や考え方を改め、新たに光を当てることで、新しい発見や気づきと深い関心が得られると確信し、
訪れる人に対しても、見落としていたり気づかなかった新しい自分の側面などを照らす効果をもたらすことだろう。

古くから色々なモノや価値が集まる「東京の骨董通り」の土地に新しい価値を提案するCADUNEの店舗。
CADUNEは骨董通りに新しい光を当てる存在を目指す。