WOVEN NARRATIVES KAWASHIMA SELKON TEXTILES MILANO SALONE 2022

SPACE:70.00㎡

2022年ミラノデザインウィークにて、1843年から続く京都の織物メーカーである川島織物セルコンのインスタレーションをミラノの歴史的建物の10万冊の蔵書を誇る物語の詰まった図書室(Circolo Filologico Milanese)で 行った。

職人による伝統ある手織り、新しいアイディアに挑戦する機械織り、その二つの技術を用いて川島織物セルコンにとってゆかりのある「四神が司る京都」の物語を、織物がつくる風景を通して表現した。

四神とは、京都の東西南北の方向を司る4体の霊獣であり、不祥を遠ざけ、ものごとの流れを順調ならしめると言われ、古くから 東西南北それぞれの地(川・道・池・山)から京都を司ってきました。

本企画では川島織物セルコンのデザインアーカイブの中から1930年頃の四神のデザインを用い、着物の帯に用いられる紋織や引箔、緞帳や祭りの山車幕などに用いられる綴織、迎賓館赤坂離宮のインテリアなどにも使われる紋ビロードなど、伝統的な手織り技術から4つの技法を用いて四神を蘇らせました。

またそれら四神が司る地(川・道・池・山)をモチーフとした織物で出来たオブジェも製作した。川・道・池・山を、それぞれの色や形、歴史的背景からインスピレーションを受け描き起こしたデザインと、それぞれに関連する伝統文様を組み合わせた織物を機械織りで製作しました。風景の多彩な表情を多層構造の光彩フィルムを織り込むことによってグラデ-ション表現を作りだしました。過去から受け継ぐ文化や伝統と、新しい技術を掛け合わせた多様な表現のオブジェ達は、見る時間や角度によって、色や光の受け方が変化し、無数の色や多彩な表情を魅せます。

(日中は自然光での計画とし、夕方から夜間はプログラミングされたムービングライトを使用した。)

手織りと機械織りの二つの技術を掛け合わせた空間では、

デジタル情報やモノが溢れる時代だからこそ、精度の高い織りが作り出す圧倒的な物質の存在と、そこに詰まった物語を感じられるだろう。物語があるものこそが未来に引き継がれ、そして情緒的な感情を引き起こすことになると信じている。

また、国内各所での巡回展示も視野に入れ、施工方法を工夫した。

オブジェたちのファブリックについては、

縫製加工や接着剤を一切使用せずに取り付けをおこなっている。

これは、川島織物セルコンの商品であるFAB-ACEを使用している。

特別な道具を使用せずに簡単にファブリックの脱着が行えることから、輸送サイズを小さくし、現場での廃棄物を少なくし、環境負荷の軽減にも繋がっている。入隅と出隅、曲線部分のディテールにおいて、縫製(ステッチワーク)や接着以外の新しい選択肢を与えている。

LIGHTING:IZUMI OKAYASU