RESIDENCE KAMAKURA

Kamakura Houseは、AtMaが自邸として計画した築40年の木造住宅のフルリノベーションです。本プロジェクトでは、リノベーションを単なる更新ではなく、建築が時間とともに変化し続けるための行為として捉え、新しい価値を加えるのではなく、既存に内在している価値を読みかえ、次へ繋いでいくことを主題としています。既存建築が持っていた空間の潜在性、素材が背負う時間、木造建築の柔軟性、そして鎌倉という土地が持つ自然のリズムとそれを日々の暮らしの中で身体的に感じ取れる関係性を活かし、「これからの新しい家のあり方とは、一体どのようなものだろうか」と問いながら、人と環境、そして時間との関係性への意識を育み、暮らしとともに更新され続ける住まいを計画しました。

計画地である鎌倉・浄明寺は都心から約1時間の距離にありながら、山々に囲まれ、寺社と住宅が混在する環境に位置し、風、湿度、光、植物の変化が日常の感覚や生活のリズムに影響を与えています

プロジェクトの大きな制約の一つは、鎌倉特有の高湿度環境でした。既存建築は湿気対策として高床式構造を採用していましたが、その結果として床下に大きな未使用空間が生まれ、室内の天井高にも制約が生じていました。本計画では、既存建築が持っていた潜在的な空間性を読み替え、床下には断熱施工とコンクリート打設を行い、土間空間として再構成することで、防湿・断熱性能を向上させながら、未使用だった容積を生活空間へ取り込んでいます。同時に床レベルを下げることで、天井高と空間の広がりを回復しました。また、既存天井を撤去し梁や小屋組を現すことで、空気の流れや光の深さといった木造建築本来の空間性を取り戻していています。

さらに既存のステップフロア構成を継承し、段差によって異なる暮らしの時間を緩やかに切り替える空間構成として活用しました。撤去した柱や梁の一部は家具へ再構成し、建築を支えていた素材が役割を変えながら暮らしの中に残り続けるよう計画しています。

また、本プロジェクトは、効率性や技術的制御、視覚的消費のための住宅ではなく、人と環境、そして時間との関係を再認識するための装置として建築を捉えています。

現代の住宅は、機械設備やデジタル技術によって自然環境から切り離される傾向にある一方、本計画では、環境の変化を身体的に感じ取れることを重視しました。開口部の配置によって山の景色を取り込み、1階の床を地上よりも下げ地上レベルの視点を獲得することで、自身が自然の一部と感じるように自然と生活空間の距離を縮めています。こうした空間操作を通して、風、湿度、光、植物、音、季節の移ろいを暮らしの一部として取り込んでいます。

本プロジェクトは住まいを単一の時間軸の中に存在する空間として捉えず、既存建築の構造体、引き継がれた素材、ヴィンテージ家具、自然の循環、家族の時間、そして個人の時間が同じ空間の中に共存することを受け入れています。建築の時間、素材の時間、自然の時間、家族の時間、自分自身の時間が重なり合うことで、普段は見えにくい多様な時間軸が可視化されます。

Kamakura Houseが提案するイノベーションは、新しい技術の導入ではなく、知覚を回復するための建築です。環境や時間、他者との関係性への意識を取り戻すことで、住まいを「帰属感」や「連続性」を育む場として再定義しています。

KAMAKURA HOUSE is the full renovation of a 40-year-old timber residence designed by AtMa as their own home in Kamakura, Japan. Rather than treating renovation as replacement, the project explores how architecture can continue evolving through time. 

The project focuses on reinterpreting values already embedded within the existing architecture and carrying them forward into the future. Drawing on the latent spatial potential of the house, the accumulated histories held within its materials, the inherent flexibility of timber construction, and the natural rhythms of Kamakura together with a way of living that allows these rhythms to be physically perceived in everyday life, the project asks: What might a home for the future be? The result is a house designed to be continually adjusted, cared for, and renewed through inhabitation, as a place that fosters awareness of the relationships between people, environment, and time..

A previously unused raised-floor void for humidity control was reconstructed as an insulated DOMA space, while exposing the timber structure to restore airflow, natural light, and spatial openness, creating a home where different rhythms of living, environmental change, and multiple temporalities coexist.