ROYAL FLASH
JINGUMAE
Space:210㎡
Completion:2024
ポーカーにおいてロイヤルフラッシュが出現する確率は「4/2598960」、約0.000153%である。
ロイヤルフラッシュの出現する確率に着目し、出現することが極めて低い確率をデザインとして表現できないかと考えた。そして家具として出現する確率が低いデザインをどのように生み出すことが出来るのかを模索した。まず私たちはスートや数字が記載されていない空白のトランプカードを入手し、そこに過去の名作家具や自分達が憧れるデザイナーの家具、エポックメイキングな家具などを空白のカードに貼り、オリジナルのファニチャートランプを作成した。そしてそのカードを使用しスタッフメンバーでポーカーを行うという設定のもと、それぞれの最強カードと考える5枚を揃えた。そこで揃った5枚のカードを使用して、AIにて画像生成を行った。更にAIにより生み出された画像を第三者へ送り作図を依頼し、第三者により作成された図面を施工会社へ渡し製作を行なった。自分達で作図や施工指示することによる意図や意志の介入を防ぐことを念頭に進めた。このような方法で今回は3台の出現する確率が低い家具デザインが生まれた。
また空間構成としては、ポーカーやロイヤルフラッシュと言ったキーワードをどのように空間に落とし込むことが出来るのかを検討し、まずは5枚のカードで構成されるロイヤルフラッシュに因んでシンプルに5つのゾーンによって空間を分ける提案を行った。しかしながら210㎡の空間内に5ゾーンはやや窮屈に感じ、4つのゾーンを初めに計画することを決めた。その4つのゾーンは、異なる意匠を持ちつつ様々な位置や角度にミラーまたはマジックミラーが設置された。ミラーに映り込む虚像の世界はカードの裏側やカードの重なりの中に隠れた存在を感じさせ、映り込む虚像の世界を最後の1ゾーンとして計画する事で、限られた空間内に5つの売り場を構築することを実現させた。
30年間渋谷と原宿のファッションを支えてきたセレクトショップであるロイヤルフラッシュの2階部分を改装をするにあたり、この店舗が所在する東京の街こそがポーカーに例えられるのではないかと捉えた。最強の役が出るまでカードを引いては捨てるように、OPENすればいつの間にか無くなっているような物件の入れ替わりが行われ、いつまでもカードを引き続けることをやめない街なのかもしれない。今一度、内装の入れ替えサイクルについて深く考えさせられるプロジェクトとなった。
0.000153% – This is the probability of Royal Flash appearing in Poker.
Tokyo is a city like Poker, where new shops open, are gone, and are replaced, never stop drawing cards. ROYAL FLASH is a specialty shop that has supported fashion for 30 years there. For the partial renovation of ROYAL FLASH, we were inspired by Royal Flash’s extremely low appearance rate and prepared original playing cards and used AI image generation to create a ”fixture design with a low probability of appearance” that prevents interference from the designer’s intentions and will. It was an opportunity to think deeply about the shop replacement cycle in the context of Tokyo, a city that never stops drawing cards.
Photo:Kenta Hasegawa